ステロイド外用薬と市販ケアの違い|併用の注意点と使い方
手荒れがひどくなると、
「市販のハンドクリームでは治らない…」
「ステロイドを使うべき?」
と迷う人が多くなります。
しかし、ステロイド外用薬と市販のハンドクリームは
目的も作用も全く別物です。
この記事では、
- ステロイド外用薬と市販ケアの決定的な違い
- 併用するべきケース・避けるべきケース
- 安全な使い方の手順 をわかりやすく解説します。
特に「手荒れが治らない人」や「手湿疹かも?」と不安な人にとって非常に重要な内容です。
【結論】ステロイドは“炎症を止める薬”、市販ケアは“保湿するもの”
まず最初に最も重要な結論。
ステロイド外用薬:炎症を素早く止める“治療薬”
→ 赤み、かゆみ、じゅくじゅく、ひび割れの痛み
→ “悪化を止める”のがステロイドの役割
市販クリーム:皮膚の乾燥を防ぐ“スキンケア用品”
→ バリアを強化、皮膚の回復を助ける
→ “治った後の維持・予防”が目的
つまり、
ステロイドで炎症を抑え、市販クリームで肌を守る
という役割分担になります。
ステロイド外用薬|特徴・効果・使うべき症状
ステロイドは皮膚科で処方されることが多く、いくつかの“強さ”に分類されています。
ステロイドの主な効果
- 強力な抗炎症作用
- 赤み、かゆみ、腫れを短時間で抑える
- 手湿疹・接触皮膚炎に特に有効
- ひび割れや痛みの悪循環を止める
使うべきタイミング
以下の症状がある場合、ステロイドが必要です。
- 赤み
- 痛み
- かゆみ
- 水ぶくれ
- じゅくじゅく
- ひび割れが悪化している
- 市販クリームで改善しない
「赤み」「かゆみ」がある=炎症
炎症がある状態で保湿だけすると、逆に悪化する場合があります。
市販のハンドクリーム|役割と限界
市販クリームは主に以下の成分を補います。
主な役割
- 水分を補給(グリセリン・ヒアルロン酸など)
- バリア修復(セラミド)
- 蒸発防止(ワセリン)
- 角質やわらげ(尿素)
- ひび割れを守る
つまり、肌から炎症を“取る”力はありません。
そのため、
炎症がある状態ではステロイド → 改善後は市販クリーム
が最も効果的。
市販クリームの限界
以下の症状では市販クリームだけでは治りません。
- 赤み・かゆみを伴う
- ひび割れが深い
- 洗剤・染毛剤などの刺激で悪化
- カサカサを超えて皮むけ・湿疹状態
- 痛くて触れない
これらは「手湿疹(主婦湿疹)」に近く、治療薬が必要です。
ステロイドと市販ケアは併用できる?|正しい順番と注意点
【結論】併用はできる。ただし順番と部位を間違えないことが重要。
ステロイドと市販クリームは目的が違うので、
正しく使えば“併用が最も効果的”です。
併用する正しい順番:ステロイド → 保湿クリーム
① 患部にステロイドを塗る(炎症を止める)
※薄く、広げすぎない
② その上から保湿クリームを塗る(バリアを守る)
セラミド・ワセリン系がベスト。
③ 就寝前はステロイド+保湿+手袋で回復が加速
とくにワセリンでフタをすると薬が落ちにくい。
併用NGなケース
ステロイドの上に刺激成分のあるクリームを塗る
以下の成分は避けるべき。
- アルコール
- 香料
- メントール
- 高濃度尿素(10%以上)
- スクラブ
→ 炎症が増悪する可能性がある。
ステロイド外用薬の安全な使い方【必ず守るべきポイント】
ステロイドは正しく使えば非常に安全です。
不安を持つ人も多いですが、誤解されている点を整理します。
① “治るまで短期間だけ”使うのが正しい
ステロイドは“炎症を止めるための短期使用”が前提。
効果的な期間
- 軽度:1〜3日
- 中度:3〜7日
- 重度:1〜2週間(医師の管理下)
② 怖がって少量にすると逆効果
量が少なすぎると効果が出ず、
炎症が長引いて悪化し、逆に治療期間が長くなる。
医師の推奨量:人差し指の第一関節分=1FTU(適量)
③ 良くなったら“急にやめずに”徐々に間隔をあける
炎症は“戻りやすい”。
やめ方の例
- 1日2回 → 1日1回
- 1日1回 → 2日に1回
- その後は保湿だけに切り替え
④ 顔・陰部・首は弱いステロイドを使用
手は皮膚が厚いため問題なし。
しかし、別部位は必ず医師の判断が必要。
市販ケアだけでは限界な症状|皮膚科へ行くべきサイン
以下に当てはまる場合、自己判断では治りません。
- 数週間治らない
- 赤み・かゆみ・水ぶくれがある
- 黄色い汁・かさぶたが出る
- ひび割れが深い
- 手の甲全体が赤い
- 繰り返し悪化する
これは“手湿疹(主婦湿疹)”の典型症状。
ステロイド+保湿剤(プロペトなど)の併用が必要です。
まとめ|ステロイドは“治す”、市販ケアは“守る”役割
この記事の要点をまとめると…
ステロイド=炎症を止める治療薬
赤み・かゆみ・痛みのある手荒れに必要。
市販クリーム=バリアを強化する保湿剤
治療後の肌を守り、再発を防ぐ。
最強の使い方は「ステロイド → 保湿」の二段ケア
治りが最速になる。
刺激成分入りの市販品とは併用NG
アルコール・香料などは刺激。
数日で改善しない場合は手湿疹の可能性あり
皮膚科で適切な薬をもらうと治りが早い。

